動画や音声をエンコードする際の「ビットレート」の目安などについて簡単に紹介します。
ビットレートとは?
「ビットレートってそもそも何?」という人は以下ページを参考にしてみて下さい。
最初に)そもそもビットレートの目安なんて決める必要ない
こんな記事を書いておいてですが、ビットレートの目安なんてそもそも決める必要はありません。
何故なら、今主流のx264エンコーダーなら、1passでも自動で最適なビットレート(”品質”を指定できる)を割り当ててくれますし、
普通のエンコーダーでも2passでエンコードすれば、ファイル内容を予測できるので、的確にビットレートを予測できるからです。
なので、そもそもビットレートの目安なんて求める必要はありません。
機械(パソコン)に任せておけばOKです。
ビットレートはどれくらいが妥当か
このページ(ビットレートとは?画質・音質・コーデックとの関係)でも少し説明しましたが、
「どのくらいのビットレートが妥当か」というのは、
- 解像度(⇒解像度とは?)
- フレームレート(⇒フレームレートとは?)
- 映像コーデック(⇒映像コーデックの種類と違い(H.264・VP9・MPEG・Xvid・DivX・WMV等))
- 音声コーデック(⇒音声コーデックの種類と違い(MP3・AAC・WMA・WAV・Vorbis・AC3・FLAC等))
- 動画内容
など、多くの要素によって決まります。
例えば、「1920×1080」と「1280×720」なら、前者の方がビットレートを2.25倍ほど多く必要とします。(解像度の違い)
例えば、「60fps」と「30fps」なら、前者の方がビットレートを2倍多く必要とします。(フレームレートの違い)
例えば、「H.264」と「MPEG2」なら、後者の方がビットレートを2倍ほど多く必要とします。(映像コーデックの違い)
例えば、「LPCM」と「MP3」なら、前者の方がビットレートを10倍ほど多く必要とします。(音声コーデックの違い)
例えば、「動きの激しい動画(スポーツ番組等)」と「動きの少ない動画(ニュース番組等)」なら、前者の方がビットレートを2~4倍ほど多く必要とします。(動画内容の違い)
このように、ビットレートというのは、一概に「○○Mbpsにしておけば良い!」と決めつけるものではありません。
映像ビットレートの目安
とは言っても、「どれくらいにすれば良いか全然検討もつかない!」という人が多そうなので、具体例を示して”目安”を紹介します。
あくまで”目安”なので、動画の内容によっては全く異なるので注意です
ちなみに以下の式で、ファイルサイズを求められます。
ファイルサイズ[MB] = (映像ビットレート[kbps] + 音声ビットレート[kbps] ) × 再生時間[秒] ÷ 8 ÷ 1024
具体例①:フルHD動画
例えば、以下の様な条件の動画だとします。
- 解像度:1920×1080
- フレームレート:30fps
- 映像コーデック:H.264
- 音声コーデック:AAC-LC
最高画質で保存したい場合
もし「動きの激しい動画」なら、13~15Mbps前後くらいが妥当です。
もし「動きの少ない動画」なら、10~13Mbps前後くらいが妥当です。
高画質で保存したい場合
もし「動きの激しい動画」なら、9~10Mbps前後くらいが妥当です。
もし「動きの少ない動画」なら、8~9Mbps前後くらいが妥当です。
中画質で保存したい場合
もし「動きの激しい動画」なら、6~8Mbps前後くらいが妥当です。
もし「動きの少ない動画」なら、5~6Mbps前後くらいが妥当です。
低画質で保存したい場合(低容量)
もし「動きの激しい動画」なら、5~6Mbps前後くらいが妥当です。
もし「動きの少ない動画」なら、3~5Mbps前後くらいが妥当です。
具体例②:ニコニコ動画投稿用
例えば、以下の様な条件の動画だとします。
(参考:ニコニコ用の動画エンコの方法と投稿条件)
- 解像度:1920×1080
- フレームレート:30fps
- 映像コーデック:H.264
- 音声コーデック:AAC-LC
- 動画長さ:10分
- 動画内容:ゲーム実況
ニコニコの場合、「3GB以下」「30分以内」「1920×1080」という3つの条件を満たせば、フルHD画質な動画を投稿できます。
詳しくは次のページを参考にしてみて下さい。
具体例③:Youtube投稿用
例えば以下の様な条件の動画だとします。
(参考:Youtubeに投稿する動画のエンコ条件とか方法【動画形式・コーデック他】)
- 解像度:1280×720
- フレームレート:30fps
- 映像コーデック:H.264
- 音声コーデック:AAC-LC
- 動画内容:PV・MV(参考:PV・MVの作り方)
Youtubeの場合は、どんな動画を投稿しようと、Youtube側で100%再エンコードされてしまうので、とりあえず超高ビットレートにしてアップすればOKです。(ファイルサイズの制限はないので)
音声ビットレートの目安
非可逆コーデック(MP3、AAC、Vorbisなど)なら、どのコーデックでも「128kbps」もあれば十分でしょう。
もし、”音質重視の動画”なら、「192~320kbps」程度まで上げると良いでしょう。
ビットレートが多く必要になる場面とは?(エンコ殺し)
ビットレートというのは、「前フレームと差があればあるほど必要となってくるもの」です。
なので、映像が常に変化する動画では、ビットレートは普通より多く必要となります。
例えば、
- 雨
- 雪
などのシーンなどでは、常に画面全体が微妙に変化するのでビットレートを食いまくります。
つまり、エンコードでビットレートを予測する際には、「その映像内で場面が変化するシーンがどれくらいあるか」がかなり重要になります。
ちなみに、「ビットレートを食いまくるシーン」の事を、俗に「エンコ殺し」などと呼びます。
▲こんな感じのノイズ映像はまさに「スーパーエンコ殺し」と言えます。 規則性がないためにコーデックによる圧縮アルゴリズムも全然効かないので、エンコード的には最悪の映像です。 |
実写とアニメの違い
▲アニメ | ▲実写 |
「実写」な動画と「アニメ」な動画なら、(基本的に)「実写」の方が多くのビットレートを必要とします。
実写の方が、アニメより遥かに細かなディティールを必要とするからです。
あと、エンコーダーによっては、
- 「実写映像」に最適化する設定
- 「アニメ映像」に最適化する設定
などが用意されていたりするので、使い分ける事でビットレートを削減できます。
▲x264guiExの場合「チューニング」という項目で最適化できる
(参考:x264guiExの各設定項目の解説③)
このページの情報は以上です。
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