デシベル(dB)とは?動画編集や音声編集との関係は?

たいていの動画編集ソフトは、以下のようにプレビュー中に音量が表示されますが

▲有料動画編集ソフト「Vegas Pro」の音量表示ウィンドウ。
(0dB~-60dBの範囲で音量が表示され,、0dBが最大となる)

このとき、音量を表現するのにdB(デシベル)という単位が使われます。

このページでは

  • dBとはどういう単位なのか?
  • 「最大音量=0dB」とはどういうことなのか?
  • なぜdBはマイナス表記なのか?

などについて分かりやすく紹介します。

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dBとは?

dB(デシベル)は「音の大きさ」を表す単位です。

値が大きくなるにつれて音が大きくなります。

なぜ0dBが最大なのか?

パソコンの世界では「0dBが最大音量だよ!」ということになっています。

▲メーターの1番上にくると「0dB」ということになる。

ん?

さっき「値が大きくなるにつれて音が大きくなる」と言いましたよね?

それなのに「なんで0dBが最大音量になるの?」と疑問に思いますよね。

 

その理由は、dBの本来の意味は「比率」だからです。

dBというのは本来、以下のように比率を表す単位なので「Aに対してBは1dB大きい」みたいな使い方はできますが、「この音は○○dBだ!」みたいな使い方はできないのです。

  • 0db・・・「1.00 倍だよ」という意味
  • 1dB・・・「1.26 倍だよ」という意味
  • 2dB・・・「1.58 倍だよ」という意味
  • 3dB・・・「2.00 倍だよ」という意味
  • 4dB・・・「2.51 倍だよ」という意味

 

それだと不便ですよね。

なのでかしこい人たちが考えました。

『何らかの音を”基準”にして
その音を便宜上”0dB”ということにしたら、「この音は○○dBだ!」と言えるようになるのでは?』

と。

 

お、話が見えてきましたね。

そうです。

つまりパソコンの世界では、「パソコンで扱える最大音量を便宜上0dBにしよう!」と決められているのです。

ここで言う「最大音量」というのは、「音が割れたりせずに聞こえる限界」です。

なのでパソコンの世界では、絶対に0dBを超えてはいけません。超えてしまうとノイズだらけになって使い物にならなくなります。

▲音声編集ソフト「Audacity」の画面。波形が上下に振り切れている状態(-1.0~1.0)になると0dBになる。

なぜdBはマイナス表記なのか?

ここまで理解できた人なら、「パソコン上でのdBがなぜマイナス表記になっているのか?」も理解できると思います。

理由としては

  • パソコンの世界では、便宜上「パソコンで扱える最大音量は”0dB”ということにしよう!」と決められているので、それ以下の音量を表そうと思ったらマイナス表記するしかないから

ですね。

dBの単位

さきほど

  • dBで音の大きさを表す際には「何らかの音を大きさの”基準”にしよう!そしてその音を便宜上0dBということにしよう!」ということになっている

と言いました。

ですがただ単に「0dB」と書くと「これがどういう音を基準にしている値なのか」が分かりません。

そもそも何も基準にしていなくて、単純に「0dB=1倍」という”比率”を表している可能性もあります。

 

なので、「そのdBが何を意味するのか」を表すために、dBの後ろに補助的に文字をくっ付けて表現することがあります。

例えば以下のようなものです。

  • dBFS(Full Scale)
    →「パソコンで扱える最大音量」を0dBと決める表現方法 
  • dBSPL(Sound Pressure Level)
    →「人が聞きとれる最小の音」を0dBと決める表現方法

 

つまり、パソコンの世界で「dB」というと「dBFS」のことを指します。

ただ、パソコンの世界でわざわざdBFSと表記されることは稀です。なぜならパソコンの世界で「dB」と言えば、dBFSのことを指すのが当たり前だからです。

 

逆に、現実世界で「dB」と言うと「dBSPL」のことを指すことが多いです。

例えば、騒音レベルの表すのに「○○dB」と表現したりしますが、その際は「dBSPL」で表現されています。

騒音レベルは以下のような表で表現されることが多いですが、このときは「dBSPL」が使われていることが多いです
dBSPL騒音のレベル具体例
20dBきわめて静か木の葉の触れ合う音
30~40dB静か図書館内、閑静な住宅街
50~60dB普通家庭用エアコンの室外機
70dBうるさい高速走行中の車の中
80dBパチンコ店内
90dB非常にうるさい犬の鳴き声(直近)
100dB電車が通るときのガード下
110dB耳に異常をきたす自動車のクラクション(直近)
120dBジェット機の近く

ちなみに、環境省が出している「騒音レベルの目安」という資料では、人が騒音と感じる周波数・長さ・音の大きさなどを考慮した等価騒音レベル「dBAeq」という表現方法が使われていたりします↓。

▲余談ですが、一般的に単位の後ろに文字を付けるのはマナー的によくないらしいので

  • ○○db Aeq

という表現ではなくて

  • LAeq=○○db

という表現にしたほうが良いみたいです。(Lはレベル表現で用いられる記号)

AviUtlの場合 → dBの表示はできない

このサイトの主題である、AviUtlについても触れておきます。

AviUtlでは、dBの表示はできません。

メニューの「表示」→「音声波形の表示」をONにすれば音声波形を表示できますが、数値までは表示されないので「正確に何dBなのか?」を測定するのはムリです。

▲音声波形を表示すれば、「波形が上下にMAXで表示されている=0db」ということはわかりますが、正確なdBは分からない。

 

ただ、AviUtlでもVSTプラグインを使う場合は、dBが活躍します。

例えば以下の記事で紹介しているのですが

【AviUtl】音の小さい部分を自動で大きく、音の大きい部分を自動で小さくする方法

 

AviUtlでコンプレッサーなどのVSTプラグインを読み込むと、以下のようにdBで値を指定することになるので、こういうときにdBの概念を知っておくと役立ちます。

▲例えばThresholdは「この値以上になったら実行する」という設定項目なので、この画像の場合は「-10dB~0dBの間にきたら実行する」みたいな意味になります。

「なぜ0dBが最大なのか?」を理解できた今となっては、すんなり意味が理解できるのではないでしょうか。

余談:dBって必要なの?

そもそも「基準を決めないと使えないdBなんて単位を使わずに、新たに単位をつくって音の大きさを表せばいいじゃないか!」と思ったかもしれませんが、残念ながら音の大きさはdBという単位で表したほうが都合がよいのです。

その理由をザックリ言うと

  1. dBは対数で表現できるから
  2. 人間の耳は音の大きさを対数のように感じるから

です。

 

「何いってんだコイツ」と思われそうなので、順番に説明します。

まず音というのは空気の振動です。

なので例えば空気の振動が1,2,3と強くなっていくと音の大きさも1,2,3と強くなっていくわけですが、不思議なことに人間の耳には空気の振動が1,2,3と強くなっていってもそう聞こえないらしいのです。

どういうことかと言うと、人間の耳では空気の振動が1,1000,1000000みたいに対数的に強くなって、ようやく「音の大きさが1,2,3と強くなったなぁ」と感じるらしいのです。

なので「対数で音量を表現できるdBは便利だよね」というわけらしいのです。

 

正直、私もよくわかっていません。

「よく分からないけどそういうものなのだな」という感じで理解しています。

 

このページのdBの説明は「ザックリ分かればいいよね」な人向けの説明なので、非常にアバウトです。

もっと理解を深めたい人は「デシベル とは」などで検索してみてください。

 

 

このページの情報は以上です。

コメント

  1. なな より:

    dB、難しいですよね。dBu・dBV等々使われる単位も様々で、映像業界・音楽業界・民生用などでそれぞれ基準にする値が違ったり。
    音圧レベルと音響パワーで全然違ったり。
    自信をもって理解していると殆どいないんじゃないかな。正直、自分も全然自信が無いです。

    ただ多少なり理解していると、音声の音量バランスを取ったり、エフェクトを使ったり、色々な場面で知識が役立つと思います。
    例えばVUメータを”見て”調整することができる事とか。
    一例として、音楽のミックス作業ではベース/ドラム/声を-6dBくらいで鳴らしてバランスを取った後、他の楽器を足していくという方法があります。
    お菓子作りで、型に合わせて分量を量って作るのと似た感じですかね。目分量では難しいですよね。

    まずは+6dBすると2倍、+12dBは4倍、+20dBなら10倍、+26dBなら20倍ってあたりは覚えておくといいかも。マイナスならその逆(例えば-6dBすると1/2・・・)ってのも。
    ちなみにこれは音圧レベル/電圧の話です。
    音響パワー/電力の場合は+3dBで2倍…となりますが、一般的に使われているのは音圧レベル・電力が殆どだと思います。

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