動画の大きさを表すパラメータには、
- 解像度
- ピクセルアスペクト比
の2つがあります。
これらの違いと関係性について紹介します。
解像度とは?
解像度は、「映像を構成するピクセル(画素)の数」の事を指します。
ピクセル数が多ければ多いほど、基本的に高精細な映像になります。
カメラの世界だと「解像度○○万画素」みたいに表現することもあります。(例えば「1600万画素」なら4000✕4000pxまでの映像・画像を撮影できるという意味)
よく使われる解像度の名前
よく使用される解像度には、全て名前が付けられています。
- 640×480:SD(標準画質)
- 1280×720:HD(ハイビジョン)
- 1920×1080:フルHD(フルハイビジョン)
- 3840×2160:4K UHD
- 7680×4320:8K UHD
「SD」はDVDで使われている解像度、
「HD」は動画配信サービスとかでよく使われている解像度、
「フルHD」はテレビの解像度としてよく使われている解像度です。
最近は、4kテレビで地デジを更に綺麗に映すために、地デジを無理やり「3840×2160」にアップコンバートする技術が流行ってたりします。
ピクセルアスペクト比とは
「ピクセルアスペクト比」(Pixel Aspect Ratio:PAR)は、
其の名の通り、「ピクセル1つ1つの縦横比率を表す値」です。
▲ピクセルアスペクト比(1:1) | ▲ピクセルアスペクト比(2:1) |
ピクセルアスペクト比を設定する事で、「再生時にどれだけ動画を伸縮するか」を設定できます。
参考:動画エンコ時のピクセルアスペクト比の設定方法【PAR・DAR・SAR】
ピクセルアスペクト比の使用例
①DVD
私たちが普段観るDVDの解像度は「720×480」固定ですが、
DVDは「16:9」のものと「4:3」のアスペクト比のものがありますよね。
これは、ピクセルアスペクト比を設定する事によって実現されています。
上記の表から分かるように、
- 「16:9」の場合は、ピクセルアスペクト比を「32:27」(横長)
- 「4:3」の場合は、ピクセルアスペクト比を「8:9」(縦長)
という風に設定します。
これらの値を元に変換すると、それぞれ以下のように計算できます。(NTSCの走査線は480固定なので、縦の解像度も480のままです)
- 16:9の縦解像度:720 ✕ 32/27 ≒ 853
- 4:3の縦解像度:720 ✕ 8/9 ≒ 640
つまり、「720×480」の映像をそれぞれ、
- 「16:9」の場合は「853×480」相当まで伸縮して再生
- 「4:3」の場合は「640×480」相当まで伸縮して再生
ということです。
あと、こんな風に、
- ピクセルアスペクト比を変えて映像を横に拡げる事を「アナモルフィック」
- 逆に映像を横に縮める事を「スクイーズ」
と呼びます。
▲アナモルフィック(図) | ▲スクイーズ(図) |
ちなみに、テレビでは「解像度」ではなくて「走査線」という概念で考えるので、そもそもピクセルで考えるのは間違っています。
テレビの場合は、「4:3の場合、1つの走査線当り、横方向に0.9倍情報を圧縮する」みたいな感じで言うのが正確と言えます。
②地上デジタル放送
私たちが普段観ている地上デジタル放送は、テレビで視聴した場合は「1920×1080(16:9)」として映りますが、元の解像度は「1440×1080(4:3)」です。
つまり、テレビ放送として流す際に映像を「スクイーズ」して、一般家庭のテレビにて映像を「アナモルフィック」して再生しているわけです。
(なぜこんな事をしているかと言うと、単にデータ節約するためです。)
なので、私たちが普段観ているテレビの映像は、1920×1080な映像に比べると、横方向の情報が0.75倍少ないという事ですね。(凝視しても気づける人は居ないと思いますが)
ちなみにBSデジタル放送は「1920×1080」として放送している(一部は1440×1080ですがですが)ので、地上デジタル放送より画質は上です。
ビットレートで言うと、
- 地上デジタル放送は「最大17Mbps」
- BSデジタル放送は「最大24Mbps」
です。
③PCモニタ
パソコンのモニタは、ピクセルアスペクト比は「1:1」固定です。
なので、「アナモルフィック」や「スクイーズ」と言った事は起きません。
「4:3」なDVDを再生しても「720×480」ですし、「16:9」なDVDを再生しても「720×480」です。
ただ、ほとんどの再生プレイヤーには、「動画に設定されているアスペクト比をパソコン上でも忠実に再現できるようにする機能」が備わっています。
例えば、MPC-HCのメニューで言うと以下の様な項目です。
▲「縦横比を保持」にして、「縦横比を調整」→「標準」にすると動画で設定しているアスペクトに伸縮出来ます。 |
これを設定して再生すると、以下のように異なります。
▲720×480の動画をアスペクト比を無視して再生した例 →本来の映像(テレビで見た際の映像)より横に引き伸ばされた映像になります。 | ▲720×480の動画をアスペクト比を4:3に設定して再生した例 →これが正しく再生された場合です。 |
つまり、DVDの動画をPCで再生する場合は、再生プレイヤー側でこのようにきちんと設定してやらないと、意図したアスペクト比で再生されないという事です。
DVD自体のアスペクト比を間違ってオーサリングしてしまった動画でも、再生プレイヤー側で直接「4:3」や「16:9」と指定してやる事で、きちんとしたアスペクト比で再生できます。
ただ、DVDプレイヤーの場合は、「DVDのアスペクト比」に準じてアスペクト比を決定するので、オーサリング時のアスペクト比を間違ってしまうと、縦長な映像になってしまったり、横長な映像になってしまったりします。
▲WindowsDVDメーカーのアスペクト比設定画面 →オーサリング画面で「4:3」か「16:9」を選べるので、間違えないようにする必要があります。 |
まとめ
パソコンのみで扱う動画の場合は、ピクセルアスペクト比について意識する必要はありません。
エンコする動画は全て「1:1」で設定しておけばOKです。
ピクセルアスペクト比を注意しなければいけない場面としては、
- DVDに動画をオーサリングする時
→「4:3」か「16:9」の正しい方を選ぶ
- DVDの動画を再生する時
→通常、「DVDのアスペクト比に合わせる」みたいな設定にしておけばOKだけど、DVDのアスペクト比自体が間違ってる場合は手動で設定する
- Blu-rayにオーサリングする前提の動画をエンコする時
→例えば「1440×1080」な動画をオサーリングする前提な場合は、アスペクト比を「16:9」にしてエンコしとかないと、BDを再生した時に1920×1080で再生されない(「1440×1080」で再生されてしまう)
- Blu-rayで「1440×1080」としてオーサリングされている動画を再生するとき
→「DVDの動画を再生する時」と同じ理由
などです。
このページの情報は以上です。
コメント
ピクセルアスペクト比の使用例のところw アナ「ル」モルフィックw
>>「16:9」の場合は「872×480」相当まで
上記の計算式では16:9の縦解像度:720×32/27≒853なのに、なぜ872相当なのでしょうか?
PC上で再生される画面は853×480ではなく、872×480で表示されているのが正しくアスペクト比が反映された画面なのですか?