私は普段「AviUtl」を使って動画編集をしています。
しかし、こんなサイトを作っている以上、「いろいろな動画編集ソフトを使っておいた方が良いよな」ということで、
- Vista用の「Windowsムービーメーカー6」
- 7・8用の「Windows Live ムービーメーカー12」
の2つを使ってみました。
というわけで、WindowsムービーメーカーとAviUtlとの違いについてレビューしてみようと思います。
「ムービーメーカーかAviUtlかどっち使おうか迷ってる!」という人の参考になれば幸いです。
私がWindowsムービーメーカーを使ったときの条件
比較の条件としては、
- ムービーメーカーについては・・
- 全くの無知の状態から、3時間ほど軽く調べつつ使ったレベル
- AviUtlについては・・
- 機能的にも操作性的にもある程度理解しているレベル(こんなサイトを作ってるくらいなので)
という感じです。
Windowsムービーメーカーを使って感じた事
AviUtlに慣れていると、Windowsムービーメーカーの操作も直感でなんとなく分かるので、1時間くらいで大体の操作は理解できました。
そして操作方法が分かって、最初に思ったのが、
「これは使い方が慣れたとしても、機能的に貧弱すぎて使いづらいだろうな」
という感想でした。
正直、AviUtlを使い慣れた者からすると我慢なりませんでした。
痒い所に手が届かないどころか、「かくための手が無い」というレベルで機能が貧弱です。
「Windows Live ムービーメーカー 2012」のUI | 「Windows ムービーメーカー 6」のUI |
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良い所
いきなり厳しいことを書いてしまいましたが、
もちろん良い所も有るので、1つ1つ紹介したいと思います。
動画についての知識が全く無くてもなんとなく操作できる
動画についての必須知識とも言える、
- 「ビットレート」
- 「フレーム」
- 「fps」
などの「動画単語」が全くメニュー内にありません。
そのため、”ズブの素人”でも、簡単な動画なら直感で作れます。
しかし、”ズブの素人”に扱えるソフトにしたせいで、私のような動画編集に慣れてる人からすると不自由すぎて我慢なりませんでした。
恐らく機能的に貧弱なのも、操作性が悪いのも、動画について全く知識がない”ズブの素人”でも扱えるようにしたのが原因なのでしょう。
キャプション機能がある
例えばこんなの↓(作ってみました)
▲こういう風に、テキストがオシャレに登場するエフェクトセットみたいなのを「キャプション」と呼ぶのですが、この「キャプション」を簡単に作れる機能を「キャプション」機能と呼びます
AviUtlではこの「キャプション機能」がありません。
なので、「キャプション」を作りたい場合、1から作る必要があります。
しかし、AviUtlでは、自分で自作、もしくはネット上で誰かが作ったキャプションを「exo」「exa」ファイルとして追加すれば”キャプション機能”的なのをどんどん追加できます。
AviUtlでもちょっと頑張ればこういうの↓を簡単に作れてしまいますので、Windowsムービーメーカーの「キャプション」機能には、特別魅力を感じません・・。
各種SNSに直接動画をアップロードできる
ムービーメーカーからアップロードするメリットがまるで感じられませんが、
各種SNS(Youtubeなど)に直接動画をアップロードできる機能があるみたいです。
自分のナレーションをワンボタンで挿入できる
これは素晴らしいですね。
「ここの部分に自分の声で後付解説加えたいな」と思った時に、録音ボタンを押して、喋って録音停止するだけで自分の声を簡単に挿入できます。
録音を押すと同時に動画の再生も始まるので、動画を見ながら声を入れる事ができます。(録音形式は.wma)
AviUtlでは、別ソフトで声を録音してそれを挿入しなければなりません。
AviUtlでも録音できるようになるプラグインが有志によって開発されました。(Aviutlプラグイン「簡易録音」)
エンドロールとかのプリセットは素晴らしい
例えば以下の動画はAviUtlで作成したモノですが、
こんな感じの「エンドロールしていく文字」というのをワンボタンで簡単に挿入できます。
AviUtlでは下から上までエンドロールさせるために「改行スペース」を沢山打ち込んだりしないといけないので、その機能はムービーメーカーの方が上だと思います。
良い所に関してはこれくらいしか見つけれませんでした。
次に「不便だなぁ」と感じた悪い点です。
悪い点
正直、悪い点を挙げるとキリが無いレベルだったんですが、
致命的だと思う点だけをピックアップします。
「タイムライン」機能が無い
Windowsムービーメーカー12の動画編集では、作業場所が「ストーリボード」のみで「タイムライン」機能はありません。
本来「ストーリボード」というのは、動画のおおまかな流れを見るためのものなのですが、Windowsムービーメーカーでは何故かこれがメイン画面となっています。
そのため、細かい動画編集にはまったく向いていません。(というか何故タイムライン機能を外したのか理解不能)
フレーム単位で移動できない
これも「タイムライン」機能がないがための欠陥です。
フレーム単位で現在位置(バー)を動かせないため、正確な位置から文字を登場させたりするのができません。(秒数単位では指定できますが、それでは精度がかなり落ちる)
また、画像なり動画なりの開始時間を変更するためには、わざわざ時間をキーボード入力する必要があるらしく、面倒くさすぎました。
出力形式がmp4(H264)とwmvしかない(6に至ってはwmvしか無い)
mp4(H264)が対応しているので全然問題ありません。が、AviUtlに比べるとどうしても劣ります。
AviUtlでは、出力できないファイル形式はほぼありません。(gif形式でも出力できたりします)
ファイルを読み込むのがやたら遅い
「4分ちょいの30fpsHD解像度の動画」をいくつか読み込んだのですが、何個か読み込むのにすごい時間が掛かるファイルがありました。
Windows純正のデコーダーが悪いのか、ムービーメーカーが悪いのか、私の環境が悪いのか分かりませんが、「遅すぎだろ」と感じました。
「レイヤー」が1つしか無い
これが一番の致命傷。
レイヤーが1つしか無い事で、表現の幅が大幅に狭まります。
具体例を挙げると以下の様な事ができません。(ほんの一例です)
例①:1画面に2つ以上の動画を流せない
以下のような感じで複数の動画を1つ画面に表示させたりする事が出来ません。
例②:音声を1つまでしか合成出来ない
例えば「動画の音声+追加した音源」のような形しか出来ません。
AviUtlでは「動画①の音声+追加した音源①+追加した音源②+動画②の音声+追加した音源③」のような感じでいくらでも音声を追加できます。
例③:動画に画像を合成したり出来ない
動画内に画像を差し込む事が出来ません。
例④:字幕(テロップ)を1つしか入れれない
字幕(テロップ)は1つしか差し込む事が出来ません。2つ以上はムリです。
インターフェイスが分かりづらい
これは個人的な感想ですが、インターフェースが分かりづらいです。
何処に何があるのか全然覚えられない。タブ式に変更する必要があったのでしょうか。
というか上のタブで操作する感じがどうにも動画編集と合ってない気がします・・。(excelとwordを使う分にはすごい便利だと思うのですが)
エンコードの細かい設定ができない
エンコードソフトとしては圧倒的にAviUtlが上です。
ムービーメーカーでは
- 「解像度」
- 「fps」
- 「ビットーレート」
くらいしか指定する事が出来ません。(しかも大雑把な設定のみ)
インターレース保持設定など、細かい設定も何1つ出来ません。
読み込んだ素材のアスペクト比率を変更できない
これも致命的。
出力する動画ファイルの解像度は指定できますが、読み込んだ動画ファイルのアスペクト比は変更できません。
プレビュー画面でも比率を変更したり出来ないので、出力してみるまでどんな感じに仕上がるか分かりません。
また、動画素材の「トリミング」も出来ないので、素材に黒帯部分などがあっても削除出来ません。
ムービーメーカー自体の動作が重い
ムービーメーカー6などに比べれば12は大分軽くなったようですが、AviUtlにはかなり劣ります。
ただ、他の有料動画編集ソフトに比べれば軽い方です。AviUtlが軽すぎるだけでしょう。
AviUtlの方が優れている点
私が優れていると思う点を列挙します。
- 上記のムービメーカーの「不便な点」を全て克服している
- 「カメラ制御」を使って3D的な動画編集も出来る
- 「ゆっくりMovieMaker」「MikuMikuDance」「AviSynth」「NIVE」などの有名ソフトと連携が取れたりする
- 欲しい機能があればネットで探せば大体見つかる(最悪自分で作れる)
- 「画像処理ソフト」として使用しても申し分無いレベルのエフェクトの種類(しかも別途追加できる)
- 「エンコードソフト」として使用しても申し分ないレベルのフィルタの種類・クオリティ(しかも別途追加できる)
- アイデア次第でどんなエフェクト効果も自作できる(その設定を公開・配布すれば誰でも使えるようになる)
AviUtlはやはりすごい
ムービーメーカーを使用してみて改めて思いました。
やはりAviUtlはすごい使いやすいです。
これが個人開発のソフトというのが未だに信じられませんね。
有志が開発したプラグインによってかなり助けられている面はありますが、大元の拡張編集機能などは1人で開発されたみたいなので本当に素晴らしいの一言に尽きます。
逆に多機能すぎて、初心者から見ればハードルが高い風に見えるかもしれませんが、1つ1つの機能を見ていけば難しい事はほとんどありません。
・・というわけで、
AviUtlは、かゆい所に全て手が届くレベルで素晴らしいフリーソフトなので、「動画編集を極めたい!」という人はAviUtlを入門として使用してみてはいかがでしょうか。
※「それでもWindowsムービーメーカーを使いたい!」という人は以下のサイトをご覧ください。
コメント
凄く為になりました、動画編集知識0でムービーメーカー12から入ってしまって乗り換えに難航中ですorz
素人的に直感操作が出来るのが非常に助かっていたのですが、レイヤーないのが致命的ですよね
(bgmを足し保存、再読み込み&再編集という現状です)
おっしゃるとおり、aviutiの機能が多すぎ、何処に何があるかわからず翻弄されていますが、何とか乗り換えたいと思います