動画には、
- 「インターレース」方式
- 「プログレッシブ」方式
という2種類の動画があります。
この2つの違いは「インターレース解除」をする際に重要となってきます。
例えば、
- 「インターレース方式で動画を撮影するデジカメ・スマホを持っている人」
- 「ゲームやテレビなどの映像を録画する人」
などに該当する人にとっては、必要不可欠と言っても良い知識なので絶対に覚えましょう。
インターレースとプログレッシブの違い
ザックリした違いについては、以下の動画が非常に参考になります。
プログレッシブ方式とは?
プログレッシブ方式は、「走査線」を上から順に1本ずつ全て描画する方法です。
例えば30fpsの動画の場合、1秒間に30枚のフレームが描画されます。
▲パラパラ漫画と同じです
このように1フレーム1フレームをきちんと描画していく方式の事を「プログレッシブ」方式と言います。
デジカメの中には
- プログレッシブでのみ動画撮影できる機種
- インターレースとプログレッシブの両方で動画撮影できる機種
の2種類があります。
インターレース方式とは?
インターレース方式は、「走査線」というものを1本毎に飛ばして描画する方法です。
▲こんな感じの描画方法を超高速に行う事で、人間の目には違和感なく見る事ができます
昔のCRTテレビ(ブラウン管テレビ)では「走査線」という横線のようなモノがいっぱいあり、それを1つ飛ばしで左から右へのぞるような感じで描画していました。
しかし、今現在パソコンのディスプレイとして多用されている「液晶ディスプレイ」では「走査線」が存在しません。
液晶ディスプレイで言う所の「走査線」は、「1ピクセル1ピクセルが高速で左から右へ描画した際の残像」の事を言います。(なので厳密には走査線とは言いません)
1フレーム = トップフィールド + ボトムフィールド
例えば30fpsの動画の場合、1秒間に60枚の”フィールド”が描画されます。
”フィールド”は、走査線を1本毎飛ばしで上から下まで描画した状態の事を言い、
- トップフィールド(TFF)
- ボトムフィールド(BFF)
という2種類のフィールドを合わせて”1フレーム”と数えます。
例えば、以下のような1フレームがあるとします。
▲ 1フレーム |
この1フレームを、
- トップフィールド(TFF)
- ボトムフィールド(BFF)
に分けて描画すると、以下のようになります。
▲ トップフィールド(TFF) →一番上の走査線から描画して1本飛ばしにする描画した状態のこと | ▲ボトムフィールド(BFF) →一番上から一つ下の走査線から描画して1本飛ばしにする描画した状態のこと |
※分かりやすい様に走査線を大きく書いていますが、実際のインターレース動画で多く使用されているNTSC規格では走査線の数は486本となります(MediaInfoで判別できます(画像))
フィールドの順番(フィールドオーダー)
このように、インタ―レース動画では、TFFとBFFを交互に描画していく事で1枚のフレームとして見せかけているわけですが、実はTFFとBFFには順番があります。
以下のように、TFFフィールドから先に表示させる事を「トップファーストオーダー」と言います。
- TFFフィールドを上から順に、左から右へ描画していく
- BFFフィールドを上から順に、左から右へ描画していく
- 次のTFFフィールドを上から順に、左から右へ上書きしていく
- 次のBFFフィールドを上から順に、左から右へ上書きしていく
- 3.に戻る
逆に以下のように、BFFフィールドから先に表示させる事を「ボトムファーストオーダー」と言います。
- BFFフィールドを上から順に、左から右へ描画していく
- TFFフィールドを上から順に、左から右へ描画していく
- 次のBFFフィールドを上から順に、左から右へ上書きしていく
- 次のTFFフィールドを上から順に、左から右へ上書きしていく
- 3.に戻る
また、このようにTFFとBFFの順番の事を「フィールドオーダー」と言います。
AviUtlでは、
- 「トップフィールド」の事を「奇数フィールド」
- 「ボトムフィールド」の事を「偶数フィールド」
と呼んだりしますが、使用するエンコーダ・動画編集ソフトによっては逆に呼んだりもします。(例えば「TMPGEnc」などの有料エンコードソフトなどでは一番上の走査線を「0」として数えるのでボトムとトップが逆になります)
なので、「トップフィールド」「ボトムフィールド」と覚えておいた方が無難です。
AviUtlのメニューの「設定」→「インターレースの解除」でのそれぞれの項目は、
- 「ボトムフィールド -> トップフィールド」=「ボトムファーストオーダー」
- 「トップフィールド -> ボトムフィールド」=「トップファーストオーダー」
の事を指しています。
BFF動画とTFF動画を判別する方法
AviUtlでは「60fps読み込み」機能を使うことで、BFFとTFFを判別できます。
メニューの「ファイル」→「開く」を選択し、「60fps読み込み」にチェックを入れて読み込む事で、例えば30fpsのインターレース動画を読み込んだ場合には、60fpsのプログレッシブ動画のような感じで読み込む事ができます。
また、読み込む前に、メニューの「設定」→「インターレースの解除」にて
- 「ボトムフィールド -> トップフィールド」
- 「トップフィールド -> ボトムフィールド」
を事前に選択しておく必要があります。
↓動画のような感じで手動で確認できます。(巻き戻ったり、不自然な動きをしたらフィールドオーダーが間違っているということ)
○フィールドオーダーを間違えて読み込むとどうなるのか・・?
例えば、「ボトムファーストオーダー」の動画なのに「ファーストオーダー」として読み込んでしまうと、
変な残像が残ったり、所々巻き戻しされているような違和感のある動画になります(動画に詳しくない人から見れば一時停止などをしないと分からないレベルではありますが)。
▲フィールドオーダーを正しく行った例 | ▲フィールドオーダーを間違った例 |
インターレースとプログレッシブ動画の呼称(iとp)
インターレースな動画とプログレッシブな動画には、それぞれ一目で分かるように、アルファベットで
- i
- p
と付けられます。
例えば以下の様な感じです。
- 480p(解像度640×480なプログレッシブ動画)
- 480i(解像度640×480なインターレース動画)
- 720p(解像度1280×720なプログレッシブ動画)
- 720i(解像度1280×720なインターレース動画)
Youtubeの「画質」の選択画面にも表示されてるやつですね。
▲パソコン上ではプログレッシブしか扱えないのでpしかありません。
インターレースとプログレッシブを判別する方法
インターレースとプログレッシブを判別したい場合には、
「MediaInfo」などのファイル識別ソフトを使用する事で識別できます。
▲MPEG(MPEG2-PS)ファイルなどの場合は、こんな感じでファイル識別ソフトで「インターレース」と表記されているので一発で判別できます。 |
ただしaviファイルなど一部動画では、こういうソフトを使用してもインターレースの項目が表示されない事があります。
そういう場合は上述した「60fps読み込み」機能などで判別できます。
また、普通に動画プレイヤーで動画を再生(インターレース解除機能はOFFにして)してやって、動きの激しい部分などで一時停止させてみて横縞線が入っていなければプログレッシブ動画と判断する事も出来ます。
どっちがどう優れてるの?
以下のような特徴があります。
- インターレース:
- プログレッシブの半分のファイルサイズで、プログレッシブと同じ「滑らかさ」にする事が可能
- 動画の構成単位が「フレーム」ではなくて「フィールド」なので、一時停止した時にブレる(キレイに表示されない)
- 動画共有サイトでは、動画は「プログレッシブ」として再生されるので、縞々の横線が入ってブレブレになるし、動画の滑らかさも消えるし、最悪な状態で再生されてしまう
- プログレッシブ:
- 動画の構成単位が「フレーム」なので、一時停止した時にキレイに表示される
- 動画共有サイト上でキレイに再生できる
というわけで、
一概に「どっちが優れている!!」というものではないので使い分ければOKです。
まとめ
・インターレースは、「フィールド」単位で動画を構成する
・プログレッシブは、「フレーム」単位で動画を構成する(フレーム=トップフィールド+ボトムフィールド)
・インターレースは、「フィールドオーダー」を間違うと残念な事になる
・動画共有サイトに投稿するなら絶対に「プログレッシブ」に変換する(インターレース解除する)(しないと残念な事になる)
・それぞれに長所・短所があるので、使い分ければ良い
このページの情報は以上です。
関連:インターレース解除とは?仕組みなどについて簡単に解説【デインターレース】
コメント
インターレースを解除する方法として,ファイルを開くときに「60fps読み込み」を行い,そのまま出力すると60fpsのプログレッシブ動画が出力されます。
この手法を用いることで奇数や偶数でインターレースを解除した場合と比べてフレーム数が二倍になります。
欠点として,ファイルサイズが大きくなること,
ボトムフィールド -> トップフィールド と トップフィールド -> ボトムフィールド の設定が違うとフレームの順番が入れ替わってしまうので,コマ送りで確認をして間違っていたら設定を変更後に再度60fpsでファイルを読み込まなければならないこと,
それから「60fps読み込み」のチェックを忘れやすいことでしょうか。
60fps読み込みを忘れた場合に備えて,AviUtlをあえてインターレースを解除しない設定にしておくとコマ送りですぐに気がつくことが出来るかもしれません。
このページ(https://aviutl.info/innta-re-su-purogurassibu/)で “このようにTFFとBFFを交互に描画していく事で” や “TFFフィールドから先に” 等々説明されていますが、TFFやBFFの「FF」は「Field First」の略だと自分は認識しているのですが違うでしょうか。
だとすると「TFFフィールドから先に表示させる事を「トップファーストオーダー」と言います。」という説明では「頭痛が痛い」の様な重言となってしまうと思います(意味としては通じますが)。
なので「トップフィールド(TF)から先に表示させることをトップファーストオーダーやトップフィールドファースト(TFF)と言います。」としたほうが正確になると思うのですがいかがでしょうか。