動画のエンコードにおける、
- 1pass(シングルパス)
- 2pass(マルチパス)
の意味と違いについて紹介します。
1passと2passエンコードの違い
ビットレートモードの「VBR」「ABR」では、エンコード形式として、
- シングルパス(1pass)でエンコードする方法
- マルチパス(2pass、3pass、4pass・・・Npass)でエンコードする方法
の2種類の方法があります。
関連:CBR(固定)とVBR(可変)とABR(平均)の違い【ビットレート】
参考:ビットレートとは?画質・音質・コーデックとの関係【映像・音声】
1pass
1passは、ファイル内容を予測しながらエンコードする方法です
例えば、
- 「このファイルは全体的にビットレートが必要そうだ。だから最初からビットレートは節約気味に行こう」
- 「このファイルはあまりビットレートを必要としなさそうなファイルみたいだから、最初から潤沢にビットレートを割り当てて行こう」
という感じで、予測しながらエンコードするようなイメージです。
”予測”しながらのエンコードなので、この”予測”が外れると画質・音質は著しく悪くなります。
つまり、「ファイル内容を予測しやすい動画」(例えばニュース番組やセミナー動画のような、”動きの無い動画”など)の場合は、「1pass」でのエンコードが向いていると言えます。
あと、エンコード速度は2passに比べて、単純に2倍くらい早くなります。
2pass
1passは、エンコードする前に一度、ファイル全体をスキャンして必要なビットレートを確認してからエンコードする方法です。
事前にスキャンするので、
- 「必要な部分には適当なビットレートを割り当てる」
- 「必要でない部分にはビットレートを割り当てない」
というのが確実に出来るようになります。
なので「ファイル内容を予測しにくい動画」(例えばスポーツ動画のような、”動きの激しい動画”など)の場合は、「2pass」でのエンコードが向いていると言えます。
ただし、1passと違って、事前にファイルをスキャンする必要があるので、エンコード速度はかなり遅くなります。
3pass以上
3pass以上は、「ファイル全体をスキャンして必要なビットレートを確認」という作業を2回以上行う方法です。
「2回以上行う意味なくね?」と思うかもしれませんが、まさにその通りで、
通常、エンコーダーで3pass以上の設定をする必要はありません。2passとほとんど画質が変わらない上に、ヘタすると劣化する場合もあるからです。
3pass以上実行するのは、「2passでエンコードしたのに、指定されたファイルサイズをオーバーしちゃった場合」などのケースだけです。
使い分け
「ファイルサイズ当りの画質・音質」を極限まで上げたいなら「2pass」がおすすめです。
ですが通常は「1pass」でOKです。(そこまで画質に差は無い)
なぜなら1passでも、2passとほぼ同じファイルサイズで、同じくらいの画質でエンコードできますし、
1passは2passと比べて約2倍速くエンコードできるからです。(動画によりますが・・)
そもそもビットレートを潤沢に与えてもOKな動画なら、わざわざ2passでビットレートをケチる必要がありません。(例えばYoutubeに投稿する動画の場合、どうせ再エンコードされるのでビットレートを大量に使ってやれば良い)
2passは、ニコニコ動画のような「投稿する動画にファイルサイズ制限がある」ような場合に有効な方法です。
以下のサイトにて、1passと2passの画質の違いについて言及されています。
「ビットレートを制限した場合、動きの激しいシーンでは2passの方が如実に画質が上がるよ!」みたいなことが書かれています。
参考:シングルパス(1Pass)・マルチパス(2Pass)の違いで画質がどれくらい違うか比較してみた。 樽之庵/ウェブリブログ
まとめ
・pass:「動画を何回解析してエンコードするか」という意味
・1pass:ぶっつけ本番で解析しつつエンコードする
・2pass:事前に1回解析しておいて、その解析結果を元にエンコードする
・3pass:事前に2回解析しておいて、その解析結果を元にエンコードする
・通常は1passで十分
・「ビットレートを1bitも無駄にしたくない!」という場合は2pass以上でエンコードすれば良い
このページの情報は以上です。
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